「一番好きなバンドは?」と聞かれたときに、私は今でも「the cabs」と答えます。
なんなら就活中に面接でも同じこと聞かれてテキトーに「星野源です」って言ったら「いや、有名じゃなくてもいいよ、一番を教えて」って詰められてしまい、汗ダラッダラでcabsを語りました。今そこで働いてます。
残念ながら既に解散しているバンドです。
2013年2月末、突然のギタリストの失踪と直後の解散発表。
当時のバンドシーンには、それなりの衝撃が走りました。
先日とあるバンドが復活を発表したときに「あのバンドも復活してくれ」みたいな波があった気がしたので、その流れで記事に起こしました。
私がどうしても、再結成を望まずにはいられないバンドです。
今回は「キャブス?なんじゃそれ」って人向けに、このバンドのお話をします。
個の強いスリーピース
まずはメンバーの紹介から。
Ba&Vo 首藤義勝
みんな大好きKEYTALKの人ですね。
当時は2バンド掛け持ちしてました。というか、cabsは高校生時代からやってたらしいので、正確にはKEYTALKがふたつめ。
訳のわからんことに、cabsの曲ではベースのチューニングが「半音上げドロップD」(4弦からD# A# D# G#)になったりします。(全曲かはわからん)
Dr 中村一太
通称「爆撃機」。激しいフレーズが印象的なドラマーでした。それ故にcabsのコピーあるある「ドラマーいない」が起こります。
激しすぎてライブ中の顔は、まあ厳しい。
Gt 高橋國光
一番左の人です。(何故かソロの写真もマスクしてない写真も見つからない)
よくシャウトしてる人。アルペジオや特殊なコードを多用するギタリスト。そして作る曲は大体変拍子です。
歌詞や曲、タイトルにまで表れる「cabsっぽさ」はこの人のセンス。この人がいないと、cabsの曲は世に生まれてませんでした。
唯一無二の楽曲
cabsの曲の特徴は「この3人にしか作れない」というのがパッと聞きで感じること。國光の曲とギター、義勝の声とベース、一太の爆撃ドラムのすべてが唯一無二。もはや一つのアンサンブルになってるのが奇跡的。
「キェルツェの螺旋」
3人の特徴が一番わかる曲です。
2nd mini album "回帰する呼吸"より キェルツェの螺旋
まあ早い。
まず、ドラムが何してるのかわからない。拍子もわからない。
ギターはアルペジオしてると思えば、騒音のようなバッキングに。
そこにどこか寂しさを感じさせる義勝の声が乗っかってきます。
ラストは全て吐き出すような國光のシャウト。
全員めちゃくちゃなことやってるのに、完全にハマってる。
目の回るような展開の、2分にも満たない曲です。
「anschluss」
the cabsの最後のアルバムになってしまった「再生の風景」から。
1st album "再生の風景"より anschluss
イントロのギターのから綺麗。
どの曲でも國光さんのギターは基本かなり歪んだ音作りなのでパっと聴き騒音なんですが、その中にどこか懐かしい風景が思い浮かぶような印象だなと思います。
そして何より、この曲を弾きながら歌う義勝がすごい。
こう複雑な曲だと歌いながらベース弾くだけで大変だと思うんですが、フレーズもルートをボボボボじゃなくて、ちゃんと國光のギターにのってるのがすごい。
これまでのアルバムにないくらいメジャー感のある曲です。初めて聴いた時はこれから売れてくんだろうな、と思わずにはいられませんでした。
解散の衝撃
2013年2月、突然の解散を発表。
前月に初のフルアルバム「再生の風景」を発売し、まさにこれからレコ発ツアーが始まろうとしていた矢先のことでした。
2月頭に渋谷タワーレコードでインストアライブを行った際は3人での出演でしたが、その直後にギターの高橋國光が失踪します。
その数日後に解散が発表され、再び3人でライブすることなく解散しました。
今思うと、その当時の私が受けた衝撃は半端なかったと思います。
「え、絶対これから売れるのに」と思っていた人、他にもいたんじゃないかと。
何より悲しかったのは、國光が作った曲を義勝が歌うことが二度と無さそうなこと。
Voが曲作ってるバンドだと、解散しても聴けるからまあいいや、ってなるんですが。
解散の衝撃は同世代のバンド界隈にもあったようで、数年後にこんなツイートをしてる人もいます。
最近またずっと聴いてるんだけどthe cabsの「再生の風景」というアルバムはめちゃくちゃ名盤です。改めて。義勝の声が切なすぎる。凄いバランス感のバンドだと思う。今もキャブスが活動してたらシーンが少し違っていたかもしれない。https://t.co/uGk7ZoLeB1
— enon kawatani (@indigolaEnd) September 1, 2015
たらればを考えるのやめてたんだけど、僕も最近心の底からそう思うよ RT @indigolaEnd: the cabsの「再生の風景」というアルバムはめちゃくちゃ名盤です…今もキャブスが活動してたらシーンが少し違っていたかもしれない。https://t.co/G5Pyw8sU7E
— 三島想平 (@mishimasouhei) September 1, 2015
本当に、cabsが活動続けてたらどうなってたんですかね。
解散したからこそ伝説的な存在になったバンドのひとつかもしれません。
メンバーの現在
解散したとはいえ、メンバー全員まだ音楽活動を続けています。
せっかくなのでそちらも紹介。
義勝さんはご存知の通りKEYTALKで踊ってます。個人的にはcabsで初めてこの人の声を聞いたので、KEYTALKで義勝Voの曲聴くとどうしても違和感あります。
でもこの曲は好きです。(8年前……)
國光さんはösterreich(オストライヒ)という名前でソロで活動してます。東京喰種のアニメの曲にタイアップになってたりしますね。
最近音沙汰無いんですが、元気でしょうか。
österreich - 『無能』MV (Tokyo Ghoul OP Theme song)
爆撃機一太はplentyに加入。全然ドガドガしなくなりました。しかしそのplentyも昨年(2017年)9月に解散。
plenty「蒼き日々」from plenty 2015年 秋 ワンマンライブ 15.10.31 日比谷野外大音楽堂
と思ったら今はドイツにいるそうです。
the cabs、いつの日か再結成しないかなんて思わずにはいられません。
たぶん無いだろうけど。